麻酔科×株式投資

しがない麻酔科医の株式投資備忘録

米国株よりおそらくウケが良い話 生命保険と医療保険

稚拙な文章にも関わらず前回の記事を読んでいただいた方、感謝しております。ありがとうございます。

 

前回記事を書いた後に思ったのですが、米国株ってまだマイナーでニッチな分野で、大多数の人には身近なものではないんですよね。

①証券会社の口座を持っていて、②日本株ではなく米国株をメインにして、③投資信託ではなく個別株を買う という3分岐を経て到達する領域です。

ノベルゲームなら隠れエンディングに至る、自力で見つけたなら自慢できるほどの分岐パターンです。いやさすがにそれは言い過ぎか。

 

まぁそもそもこの記事を書いてる時点で私自身も米国株に100%シフトしているわけではないですからね。証券口座に預けている資産のうち50%程度はまだ日本個別株として持っています。 ある程度利確・売却した後にその資産を少しずつ米国株に移していこうと思ってます。

 

そこで今回は、株式よりももっと多くの人が関わるであろう投資、保険について語ろうと思います。(※保険も不確定な未来に対してお金をかけるという意味では立派な投資です。)

 

 

「ところであんたは医者だそうだが、なぜ保険に詳しい?」と思った方々

 

ごもっともです。医者は保険に関しては基本的にど素人です。実は自分で調べるまで保険については全くの無知でした。

 

実はつい先日、私自身の結婚が決まり今後の保険について検討する必要があったため色々調べていたのですが、保険を契約したいが無駄なお金は払いたくないという一心で、プライベートの時間をほぼ全て保険の勉強に充てていたこともありました。

なので、そのへんの同年代医師よりは保険について詳しい自負があります。

 

そして詳しくなった結果、、、新たに保険には入りませんでした。

実は数年前、研修医のとき(情弱なとき)に生命保険(保険金合計約1000万)は既に契約しており、生命保険はこれで十分かなと思ったのと、医療保険はいくつかプランを比較してこれが一番良いなと思ったものでも何かと無駄が多かったことから新規契約は見送りました。

 

・・・・・

 

すでに企画倒れ感マシマシですが、せっかく調べた内容を無駄にするのも嫌なので供養話をさせてください。

これを読んで、自分は保険に入ったほうが良いなと思う方もいるかもしれませんし、保険に入るべきじゃないなと思った人もなぜ入るべきじゃないか説明できるようになるとかっこいいと思います。

 

本題に入る前にまず前提として押さえてほしいことが3つあります。

①保険とは、保険会社が儲けるために行っている事業である。(=保険加入者は基本的に損をしている。)

②保険会社は、契約者から支払われた保険料を元に株式など投資を行っている。(=最悪の場合、保険会社の投資が失敗して倒産する可能性もある。)

③保険に入ると、所得税と住民税の控除が受けられる。(=契約者も国の支援でちょっとだけ得する。)

 

以上を知っているとなぜ保険会社が成り立っているか、なぜ保険のおばちゃんは節税にもなりますよとしつこくセールスしてくるのか理解できると思います。

それでは以下から本編です。(前置きが長い)

 

1⃣生命保険

一般に「保険」と呼ばれるものには生命保険医療保険の2つがあり、この2つがひとまとめになった保険商品を売っている保険会社もあります。

その名の通り、生命保険は自分が死んだときに遺族に保険金が渡り、医療保険は病気やケガで入院したときに保険金がもらえるというものですね。

生命保険は医療保険にとって絶好の対比相手であり、せっかくなので簡単に述べようと思います。

 

生命保険は自分が死亡したときに保険金が下りると説明しましたが、実は一般的には高度障害を負ったときにも保険金がもらえるんですね。

高度障害とは、たとえば事故で両眼が視えなくなったり脚が動かなくなったりして生活の全面的な介護が必要になった状態を指します。

すなわち生命保険とは、「死亡時・高度障害時」→自分が家族の生活に多大な負担をかけるようになってしまった際に金銭を補償してくれるものです。

だから、自分が働けなくなってしまったら、家族が路頭に迷うかもしれないと心配な方はぜひ入ったほうが良いと思います。

逆にそうじゃない人は入らないほうがいいです。お金の無駄です。

 

金額をいくらに設定すべきかはその家庭ごとに異なるのでここでは割愛します。

 

生命保険はプランが大きく3種類に別れます。

 

定期保険・・・月々の保険料が安い。しかし支払った保険料は戻ってこない。いわゆる掛け捨て保険。いつ解約しても損にはならない。

 

終身保険・・・月々の保険料がやや上がる。が、65歳以上など満期年齢以上で解約すると支払った保険料よりも多くお金が戻ってくる(ただし死亡・高度障害時に下りる保険金額よりは低い)。満期年齢以下で解約すると、解約返戻金は支払った保険料総額よりも低い額になる。

 

養老保険・・・月々の保険料が更に上がる。が、満期年齢に達してから解約すると、死亡・高度障害時に下りる保険金と同額が返戻金として戻ってくる。

 

どれが良いかと言われれば、人によるとしか答えようがないです。

よく節税の本でオススメされてるのは定期保険です。月々の支出を抑えることを重視しているので当然ですね。

私が契約しているのは終身保険です。まだ保険のことを碌に知らない時に契約してしまったので見直しをした際解約しようかと思ったのですが、月々の保険料がそこまで負担ではないことと、私が死んだときの家族への保障が欲しかったので契約したままにしてあります。

養老保険はお金に余裕はあるけど株とか資産が減ることはしたくないって人向けですね。自分の資産が減るリスクを取らない代わりに高額な保険料をおさめて、それを保険会社が投資でお金を増やしてそのおこぼれをもらうって感じです。逆に言えば自分で株式投資をする人にとって養老保険は不要です。

一つ注意したいのは、終身保険養老保険で解約返戻金が支払った保険料総額を上回った場合、それは保険を使って儲けたということに他ならないので、所得税が発生するということです。つまり契約書に書かれてる金額は返戻されるけど後で一部を国にとられます。まぁあくまでとられるのは利益の一部なので寛大な心で向き合いましょう。

 

ちなみに家やマンションを買って住宅ローンを組んだ際、契約者が生命保険に入っていない場合は強制的に生命保険に加入させられるようです。死んでも金を返せってことですね。

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残酷ですがこの世の心理だと思います。

 

以上、生命保険について述べました。

「契約したほうがいいものかどうか」と考えるよりも、「自分は契約すべき人間か契約すべきでない人間か」と視点を変えたほうが有意義に検討できると思います。

ちなみに生命保険に入っていなくても、国民年金・厚生年金をちゃんと支払っている人は遺族に対して遺族年金が支払われます。それだけだと不十分なケースが多いので生命保険に入っている人が多いんですけどね。

 

 

2⃣医療保険

私は結局契約しませんでしたが、実は契約するかどうか非常に悩みました。

さっきの生命保険と違って、医療保険では給付金が下りるケースが非常に多いからです。

生命保険の保障が適用されるのは基本的に交通事故が想定されますが、医療保険の場合はたとえばスポーツ中のケガ、検診で見つかったがんの手術、逆子が続いて帝王切開など様々な状況が想定されます。

医療保険のプランというのはどの保険会社も似通っていて、

①入院給付金(入院したら1日5,000円~もらえる)

②手術給付金(手術を受けたら1回10万円~もらえる)

③がん診断給付金(がんと診断されたら50万円~もらえる)

④三大疾病給付金(がん・心筋梗塞脳卒中になったら50万円~もらえる)

⑤女性特有疾病給付金(子宮筋腫から子宮癌・卵巣がんまで女性臓器疾病になったら10万円~もらえる)

⑥先進医療給付金(先進的な白内障手術や、がんの陽子線治療などを受けたら2,000万円まで全額もらえる)

などなど

※注)かなりざっくりと書いています。

 

こうしたプランから欲しいものを組み合わせていき自分なりの保険ができます。当然組み合わせる数が増えるほど保険料は高くなっていきます。

医療保険に入っていなかったら高額な医療費を請求され、その後の生活がままならなくなる....と悩みますよね。でも大丈夫です。

日本には「高額療養費制度」という素晴らしい制度があります。

高額療養費制度とは、保険診療の範囲(保険証を提示すると自己負担が30%で済むアレ)で手術を受けるなど高額な医療費が発生した場合、自己負担分がかなり抑えられます。

たとえば年収600万円程度のサラリーマンが大腸癌で手術を受け、入院代やら検査代やら手術代やら総額80万円の費用が発生した場合、自己負担額は約10万円で済みます。75歳以上で治療を受けると更に安くなります。

この制度があるおかげで、医療保険に入る必要性はかなり薄れます。まぁただこの制度のせいで、もう老衰だろうって高齢者が家族の希望で不要な治療を受けて苦しい思いをしてしまうが家族の金銭負担は少額で済む...という腹立たしい現実が日本中で起きていますがね。

 

話がやや脱線しましたが、ここ日本は高額療養費制度で医療費のほとんどが保障されるという素晴らしいお国なのです(皮肉)。

しかしこの制度だけで十分と言い切れるのは、退院した後も以前と同じように働けるというケースが前提です。病状が長引けば医療保険に入っておけばよかったと後悔することになるかもしれません。

じゃあなんであんたは医療保険を契約しなかったんだと思うかもしれませんが、自分が医療ケアを今後受ける機会が少ないだろうと賭けたからです。タバコは吸わず偏り過ぎない食生活を心がけていること、幸いにも親・親戚に入院を繰り返すような人はおらず遺伝的には病気になりにくいことを考慮に入れた結果です。

また私の契約しようとしていたのは、掛け捨ての終身プランで保険料を一番安くしようとしても月々2,500円程度と思ったより高額だったからでした。年間3万円ですね。この金額を死ぬまで払い続けるより株式投資に回したほうが得だという判断です。

 

というわけで私は医療保険には入りませんでした。

ただ、さっき列挙したうちの、「⑥先進医療給付金」は保険料が安く魅力的だと思います。ただ、これだけの契約ができる保険が少ない、そしてこれだけの契約はできても割高になる...という事情があり結局すべて見送りました。

 

逆に医療保険に入ったほうがいいのは、自分の健康が不安だという人や、自分が病気になったときに高額療養費制度があっても経済的な心配があるという人だと思います。

 

以上、医療保険でした。

 

さいごに

序盤に保険も投資だと書きましたが、元本保証のものは置いといて大多数の投資は、資産が減るという不安・心配を許容できるかどうかだと思います。つまり個々人にとって向いている投資と向いていない投資があります。

私の場合は、株式投資で資産が減るリスクは許容できても(その後増える可能性が十分ある)、医療保険で資産が減るリスクは許容できなかったということです。

今はインターネットですぐに、わかりやすく、中立的な説明に出会えるので非常にありがたいですね。逆にインターネットが使えないと多大な機会損失を被ることになります。

 

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それではまた後日

 

 

追伸:

私が保険を検討するうえで非常に参考になったサイトを紹介させていただきます。

 

- その「保険」の弱点を知っていますか? http://hokenmatome.net/

- 生命保険・医療保険の選び方 http://hoken40.site/

 

各保険会社の各商品について長所短所を比較しながらレビューし、評価Aとか星4つとかランク付けしてわかりやすく書いてくれています。

保険を検討するときの指南になると思います。

 

この記事書くのに6時間も費やしてしまった...